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DAMN. Tシャツ

DAMN. Tシャツ



胸に「DAMN」(くそったれ)と書かれたグレーのTシャツで、5月に発売された米ラッパー歌手ケンドリック・ラマー(30)の同名アルバムのプロモーション用に配布されたもの。

須藤がシャツを着用した理由は定かではないが、ラップ好きを公言し、ヒップホップ専用のネットラジオ番組でレギュラーも務めている。


Kendrick Lamarの新作は、予想外にもプロダクションをひどく軽視した、
ラップに重点を置いたアルバムになりました。
浮遊感のあるアンビエントなプロダクションが絶賛された「good kid maad city」,
Flying Lotusの重厚なビートで幕を上げた「to pimp a butterfly」の流れで見ると、間違いなく肩透かしです。
ただ、そのラップがすごい。本当にすごい。

このアルバムで大きな核をなしているのが、Fox NewsのGeraldo Riveraによる有名な発言です。
Lamarがグラミーの授賞式でボロボロになったパトカーの上でパフォーマンスを行い、大きな注目を浴びたあとのこと。
Geraldo RiveraはKendrick Lamarを現代最高峰のラッパーだと賞賛しているのですが、
その一方で警官への暴力を暗示するパフォーマンスを批判し、こう言いました。
「警官への暴力を容認しているヒップホップは、若い黒人たちに大きな悪影響を与えている。レイシズムよりもひどい。」
当然、その後にGeraldo Riveraはヒップホップファンからボコボコに叩かれたのですが、
当のKendrick Lamarはひとり、とても真摯に彼の言葉に向き合ったように思えます。

かつてKanye Westらが高らかに歌い上げた「オバマの国(Obama nation)」は終わり、トランプの時代が到来した今、
自分たちのラップは正しいのだろうか?
ヒップホップが、白人や警官=権力への敵意を剥き出しにして、本当にいいのだろうか?
むしろ、白人から黒人への激しい差別を助長することにはならないのだろうか?

Kanye Westはトランプと面会して握手を交わし、猛批判を浴びました。
かつては過激なリリックで知られていたKiller Mike(Run The Jewels)もKanyeを擁護し、物議をかもしています。
おそらく、日本からでは予想もつかないほど、アメリカのヒップホップシーンは混乱しているのではないでしょうか。

たしかに、LamarはGeraldo Riveraへの敵意を剥き出しにしています。
(”YAH”では「Fox Newsは視聴率のために俺の名前を使ってる」という言葉も)
しかし、最も素直に心情が垣間見えるのは2曲目「DNA」でしょう。
比較的ノーマルなビートにギャングスタなリリックが乗せられる前半に飽きてきた頃に、
突如としてGeraldo Riveraの上述の言葉が流れ出し、曲は一気に不穏な方向に。
そこから先の1分間は、個人的には彼の今までのキャリアで最高の瞬間です。

「セックス、金、殺人、それが俺ら=ギャングスタ・ラッパー=黒人のDNAに刻まれている」
「でも、俺はギャングスタの真似ごとをしてラップしているわけじゃないんだよ。」

彼はたびたび、自分のリリックは自身の経験から生まれたものであることを強調しています。
家族がドラッグディーラーだったのだから、彼のまわりでは殺しも強姦も日常茶飯事だったわけです。
俺は往年のギャングスタ・ラップの真似をして歌っているんじゃない。
貧しい黒人たちに暴力が染み付いていることは、今のアメリカの現実なんだと、彼は歌っています。
若く貧しい黒人たちを煽るために、虚栄をはっているわけでは決してないのだと。

メロディのないビートの上で叫ぶようにラップされる言葉からは、古き良きギャングスタ・ラップを敬愛しつつも、
黒人として、クリスチャンとして、ミュージシャンとして、何を歌うことが正しいのか、深く思案する彼の苦悩が感じられました。
ぜひ、Rap Geniusとにらめっこして、全曲の歌詞を読んでみてください。
壮大な話題を取り扱った「to pimp a butterfly」よりも、
ずっと身近で切実に感じられる奥深いアルバムでした。

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